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コラム |
2025.10.05
近年、マンションやビルといった高層建築物の外壁に使用されているタイルの剥落(はくらく)事故が社会問題化しています。
タイル剥落は、建物の美観を損なうだけでなく、歩行者への重大な被害を与える可能性があります。
管理組合やオーナー様にとって対策が不可欠です。
タイルの浮きや剥がれが発生した際の補修方法として、最も広く採用されています。
高い安全性と耐久性を誇るのが「アンカーピンニング工法(タイルアンカー工法)」です。
この工法は、剥落防止工事の中で、浮きが生じたタイルを強固に固定します。
建物の長期的な安全を確保する目的で行われます。
今回の記事は、タイルアンカー工法を検討しているマンション管理組合の担当者様やビルオーナー様、建築設計者の方々を対象に、
アンカーピンニング工法の仕組み
費用相場
適切な施工の流れ
を専門的な知識に基づき徹底的に解説します。
費用を抑える独自の技術を持った大阪の業者の情報も含め、貴方の外壁改修の成功に役立つ情報を提供します。
アンカーピンニング工法は、外壁のタイルと躯体(コンクリート)の間に生じた「浮き」を、特殊なピンとエポキシ樹脂を使用して再度強固に一体化させるタイル補修の技術です。
剥落防止工事として極めて信頼性が高いのが特徴です。
1. タイル浮きの根本原因と危険性
タイルの浮きは、主に経年劣化や温度変化による膨張・収縮、雨水の浸入によって、タイルと下地の接着層(モルタルなど)の付着力が低下します。
隙間が生じることで発生します。
浮きを放置すると、最終的にタイルが剥がれ落ちます。
人や物に対して重大な損傷を与える可能性があります。
アンカーピンニングは、この接着層の代わりに機械的な力でタイルを固定し、安全を確保します。
2. 工法の仕組み:ピンとエポキシ樹脂による二重の固定
この工法は、以下の要素で構成されます。
アンカー(ピン):主にステンレス製(SUS 304)の金属棒や特殊な樹脂製のピンを使用します。長期間の耐久性と強度が高く求められます。
注入材:液状のエポキシ樹脂を使用します。強固な接着力と高い粘性を有しており、孔の中で硬化することでタイルと躯体を一体化させます。
アンカーがタイルを機械的に押さえ、エポキシ樹脂が接着層として機能することで、剥落を二重で防止する効果を発揮します。
アンカーピンニング工法の費用は、
補修するタイルの状態
建物の高さ
アンカーの本数(密度)
などによって大きく変動します。
1. アンカーピンニング工法の単価目安
費用を算出する際は、「浮きが確認された箇所」全てに施工する場合と、「全面」に一定の間隔で予防的に施工する場合で総金額が異なります。
一般的に、浮き1箇所あたり複数のピンを挿入します。
2. 費用を抑えるポイント:足場費用に注目
外壁改修工事の費用で最も大きな割合を占めるのが、仮設足場の設置・撤去費用です。
このコストを抑えることが、費用削減の鍵となります。
大阪を拠点とする私たちは、ロープアクセス工法という「足場なし工法」を積極的に採用しています。
この技術は、高層階や狭い箇所のタイル補修に優れております。
大幅なコスト削減と工期短縮を可能にします。
アンカーピンニング工法は、経験と技術を要する専門的な工事です。
確実な効果を得るため、以下の手順が厳密に行われます。
工事の最初の工程は、既存タイルの状態を正確に調査することです。
打診調査:ハンマーを使ってタイル面を叩き、音の違いで「浮き」の位置を特定します。
マーキング:浮きが確認された箇所にチョークなどで印をつけ、補修範囲とピンの挿入位置(ピッチ)を決定します。一般的には 200mm程度の間隔で設定されます。
マーキングされた位置にドリルを使用して「孔(あな)」を開けます。
穿孔(せんこう):タイル、モルタル層、そして躯体コンクリートに達する深さまで孔を開けます。ドリルはタイルを割らないように細心の注意を払って使用されます。
孔内清掃:穿孔時に発生する粉塵(粉)や水分をブラシや空気の圧力を使って完全に除去します。この清掃を怠ると、エポキシ樹脂の接着力が低下し、施工の品質に悪影響を与えます。
アンカーピンニング工法の核となる工程です。
エポキシ樹脂注入:専用のポンプや注入器を使って、孔の内部にエポキシ樹脂を充填します。注入量が不足しないよう、慎重に行われます。
アンカー挿入:樹脂が充填された孔に、ステンレス製のアンカーピンを挿入します。ピンの先端が躯体コンクリートに到達し、樹脂が孔の奥まで密実に浸透することを確認します。
アンカーを固定した後、最終的な仕上げを行います。
口付けと目立たない仕上げ:孔の開口部に残った樹脂やピンの頭を処理します。タイルの色に合わせた特殊なセメント系の補修材やパテを使用して、補修跡が目立たないように仕上げます。
養生:注入したエポキシ樹脂が確実に硬化するまで、一定期間の養生(硬化時間)が必要です。(夏期、冬期で硬化時間は異なります)
アンカーピンニング工法がタイル補修の主流となっている理由は、その優れた性能と長期耐久性にあります。
優れた剥落防止効果:機械的な固定力と接着力の両方を使って固定するため、既存の浮きを解消し、再剥落の可能性を極めて低減します。
既存タイルを活かせる:タイルの全面張替えを行わないため、建物の外壁デザインや意匠を変えることなく、補修が可能です。(タイルの劣化やひび割れが深刻な場合は、張替えも検討します)
高い経済性:全面張替え工事に比べ、アンカーピンニングは材料費と工賃のコストを抑えることができ、外壁改修の総費用を削減することにつながります。
アンカーピンニング工法は、国の建築関連機関の指針や基準でも有効な補修方法として認められており、権威ある技術です。
大阪の都市部のマンションは、
隣接する建物との間隔が狭いこと
交通量が多い
そのため、従来の足場を組む方法が難しい現場が多く存在します。
私たちが得意とする足場なし工法(ロープアクセス工法)であれば、このような都市特有の狭いエリアや、高い建物の上部の部分補修に最適です。
足場の設置・解体に伴う騒音や、工事期間中の入居者の生活への影響を最小限に抑えることができます。
アンカーピンニングと足場なし工法を組み合わせることで、大阪の法人や管理組合様に、高い安全性と経済性を両立した外壁改修の選択肢を提供しています。
無料診断や見積もりは、お気軽にお問い合わせください。
A. 適切に施工されたアンカーピンニング工法の耐久性は、概ね2530年以上と非常に高いです。
使用するアンカーピンはステンレス製(SUS 304)など耐久性に優れた材が使われます。
エポキシ樹脂も長期的な強度を確保できるよう設計されています。
定期的な点検を行い、健全な状態を保つことが重要です。
A. はい、アンカーピンニング工法は広範囲な浮きにも適用可能です。
しかし、浮きやひび割れの程度があまりにも深刻で、タイル自体の欠損や破損が多い場合、ピンで固定するだけでは美観や安全性の回復が難しいため、一部または全面の張り替え工法も検討する必要があります。
最初に専門業者による正確な打診調査を行うことを推奨します。
A. 適切に施工されたアンカーピンニング工法では、漏水の可能性は極めて低いです。
穿孔後、孔の中に隙間なくエポキシ樹脂を充填します。
アンカーを挿入して固めます。
最後に表面の孔の口も特殊な補修材で封じるため、水の浸入を確実に防止し、防水性を高めます。