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コラム |
2025.11.01
マンションを所有・管理されている皆さまにとって、建物の長期的な維持管理は避けて通れないテーマです。
特に給排水管改修工事は、外壁塗装や屋上防水などの大規模修繕工事と比べ、目に見えない部分の工事であるため、その重要性や費用の目安が理解されにくい傾向にあります。
しかし、給排水管は、居住者の生活に必要不可欠な設備です。
その劣化を放置すれば、
漏水や赤水
詰まり
などの深刻なトラブルを発生させます。
建物の資産価値を大きく損なうリスクがあります。
今回の記事は、マンション管理組合の理事やオーナー、修繕の担当者を対象に、
給排水管改修工事の概要
費用相場(給排水管 更新 費用 相場)
費用を抑える方法
業者の選び方
そして修繕積立金との関係について、網羅的かつ具体的に解説します。
特に大阪で外壁塗装から設備改修まで幅広く対応している事業者の知見を活かし、皆様の疑問や不安の解消、適切な改修工事の実施をサポートすることを目的としています。
給排水管の改修工事を適切に進めるためには、
配管の種類
耐用年数
工事の方式
費用の全体像を理解しておく必要があります。
マンションの給排水管の寿命は、配管の材質や使用状況によって大きく異なります。
一般的に給水管や給湯管は排水管よりも早くに劣化が進む傾向にあります。
| 配管の種類 | 主な材質 | 一般的な耐用年数 | 劣化の主な特徴 |
| 給水管 | 鋼管、銅管、ステンレス、樹脂(ポリエチレン管等) | 15年~40年 | 錆(赤水)、腐食、漏水 |
| 排水管 | 鋳鉄管、硬質塩化ビニル管(VP管、HTVP管)、樹脂 | 30年~40年 | 詰まり、腐食、水漏れ(特に継手部分) |
| 給湯管 | 銅管、ステンレス、架橋ポリエチレン管 | 15年~30年 | 腐食、ピンホールによる漏水 |
給排水管の更新が必要となる主なサインとしては、赤水が出る、水圧が下がる、水漏れや漏水が多発するなどが挙げられます。
築20年を超えるマンションでは、劣化が一斉に進むため、大規模修繕の時期と合わせて計画的に改修工事を検討することが重要です。
給排水管の改修工事には、大きく分けて「更新(交換)」と「更生」の二つの工法があります。
どちらを選択するかで、工事の費用や工期、耐用年数が大きく変わります。
既存の配管を撤去し、新しい配管に交換する工法です。
最も確実な方法で、配管の寿命を新築時と同様に長くすることが可能です。
費用は高くなり、壁や床の解体を伴うため、内装の復旧も必要となります。
専有部分にも及ぶ工事になるため、居住者の理解と協力が不可欠です。
既存の配管を活かし、管内を洗浄した後、防錆効果のあるエポキシ樹脂等でコーティング(ライニング)加工を施す工法です。
主に給水管の錆や腐食の進行を抑える「延命措置」として行われます。
更新に比べて費用は安く、工期も短く、内装の解体も最小限で済みます。
ただし、耐用年数は10年~20年程度と更新より短く、既に劣化が激しい場合は施工が難しいという注意点があります。
給排水管の改修工事は高額な費用が発生するため、適正価格を把握しましょう。
見積もりの妥当性を判断することが重要です。
給排水管の更新(交換)工事は、
配管の材質や工事の範囲(専有部分を含むかどうか)
建物の構造(スラブや壁の厚さ)
によって大きく変動します。
| 規模 | 1戸あたりの目安(共用部分のみ) | 1戸あたりの目安(共用・専有部分含む) |
| 中規模(50戸程度) | 60万円~120万円 | 100万円~180万円 |
| 大規模(100戸程度) | 40万円~90万円 | 80万円~150万円 |
上記はあくまで概算の相場です。
実際の金額は
配管の本数
階数
内装の復旧内容
によって大きく異なります。
特に、専有部分の給湯や排水の配管を更新する場合は、内装(キッチン、浴室、トイレ、洗面など)の解体と復旧が伴うため、費用が高額になるケースが多いです。
更生工事は更新工事より費用は安くなりますが、使用する樹脂の種類や工法(塗布・引き込みなど)によって金額が変動します。
【更生工事(延命)の概算費用相場】
| 工事範囲 | 1戸あたりの目安 |
| 給水管のみ(専有・共用部分含む) | 20万円~40万円 |
| 給水管+給湯管(専有・共用部分含む) | 40万円~70万円 |
更生工事の場合は、配管を壊さないため、内装の復旧費がほとんどかからない点が大きなメリットです。
ただし、築30年を超えるなど、劣化が著しい配管には適用できない場合もあるため、事前の診断が重要となります。
給排水管改修工事は、マンションの修繕積立金に大きく影響を与えるため、長期の資金計画と適正な見積もりの比較が不可欠です。
給排水管改修工事は高額な費用となるため、長期修繕計画に正確に組み込む必要があります。
通常、給排水管の更新は築20年~30年の大規模修繕の周期で行われることが多いです。
【修繕積立金の適正な積み立てが重要】
国土交通省のガイドライン等を参考に、給排水管の更新も含めて必要な費用を見込んだ長期修繕計画を作成します。
適正な修繕積立金の設定を行うことが求められます。
資金が不足している場合は、追加で一時金の拠出や修繕積立金の値上げを検討する必要があります。
【マンション大規模修繕 費用との関連性】
給排水管の改修工事を、外壁塗装や屋上防水などのマンションの大規模修繕費用と同時に行うことで、工事全体のコストを削減できる可能性があります。
足場や現場の管理など、共通で発生する費用を圧縮できるためです。
特に、給排水管の更新で内装の解体を伴う場合は、リフォームと合わせて計画を進めることで、居住者の負担を軽減できるメリットもあります。
給排水管工事は専門性が高く、見積もりの内容を比較するのが難しいため、複数の業者から見積もりを取得し、第三者の専門家の意見を活用することが重要です。
【見積もり比較の3つのポイント】
工法の違い:更新か更生か、工法が異なれば金額は大きく変わります。同じ工法で比較し、その工法が配管の劣化状況に適切かどうかを確認します。
工事範囲の明確化:専有部分のどこまで(キッチン、トイレ、浴室、給湯器の手前までなど)工事に含むかを明確にし、各の業者の見積もりの範囲が同じであることを確認します。
内装復旧費の内訳:更新工事の場合は、内装の復旧費が高額になるため、床や壁の材質、リフォームのグレードが適切かどうかを細かくチェックします。「一式」表記が多い場合は、内訳の提示を求めます。
給水管の老朽化による赤水や水質の問題は、居住者の健康と生活に直結するため、早急な対策が必要です。
赤水は、主に古い鋼管や給湯管の錆が原因で発生します。
水質の悪化を防ぎ、快適な住環境を維持するためには、配管の更新または更生が必要です。
【赤水対策としての更新・更生】
更新(交換):耐用年数が長く、錆の心配が少ないステンレス管や樹脂のポリエチレン管などに交換します。最も効果的な赤水対策です。
更生(ライニング):管内をコーティングすることで、錆の発生を一時的に防ぎ、赤水の発生を抑える効果があります。あくまで延命措置としての対処法と認識しましょう。
給排水管の工事範囲を検討する際に重要なのは、共用部分と専有部分の区別です。
費用の負担の主体や工事の進め方が異なります。
【専有部分と共用部分の範囲】
共用部分:竪管(パイプスペース内の縦に通る主な配管)や、ポンプ、受水槽など、全ての住戸で利用される設備です。
改修費用は修繕積立金から支出されます。
専有部分:各の住戸の壁や床下を通る配管で、給湯器の手前や各の栓から室内の蛇口までの配管です。
改修費用は原則として区分所有者の自己負担となりますが、管理規約によって異なります。
専有部分の配管は壁や床下に埋設されていることが多いです。
改修には内装の解体を伴うため、管理組合が主導して一斉に工事を行うのが最も効率的です。
給排水管改修工事を成功させるためには、信頼できる業者の選定と、費用を賢く抑える工夫が必要です。
給排水管工事は、専門知識と実績が豊富な事業者に依頼することが大切です。
費用の安さだけで判断せず、総合的に評価する必要があります。
【業者選定のチェックポイント】
管工事の実績:マンションの給排水管改修工事に特化した実績が豊富か、同じ構造・規模の事例があるか確認します。
提案力:更新と更生のメリット・デメリットを含め、劣化の状況に応じた最適な工法を提案できるか。一級建築士などの専門家が在籍しているかも重要です。
内装復旧の品質:配管工事に伴う内装の解体・復旧まで含めて一貫して高品質な施工が可能か確認します。
保証とアフターサービス:工事完了後の配管の保証期間と内容が明確か、漏水などのトラブルに対し迅速な対応が可能かチェックします。
高額な費用を伴う給排水管改修工事のコストを抑えるためには、計画と業者の選定に工夫を凝らす必要があります。
【コスト削減の具体的な方法】
大規模修繕工事と同時に実施する:足場や管理の費用を共有し、工事の効率化を図ることで費用を抑える。
競争入札を行い、給排水管 工事 見積もり 比較を徹底する:複数の業者に同じ仕様で見積もりを依頼し、価格を競争させる。
専有部分の内装をシンプルに復旧する:豪華なリフォームを避け、基本的な機能に限定することで復旧費を抑える。
劣化の進行が遅い排水管の改修を後に回す:給水管の緊急性が高い場合は、段階的に工事を進めることも検討する。
私たちは、大阪を拠点に活動しており、外壁塗装を得意とする会社です。
建物の総合的な維持管理の一環として、給排水管の診断や改修工事のコンサルティングも提供しています。
特に、給排水管の更新工事では、足場を使わない「足場なし工法(ロープアクセス)」を外壁塗装で採用することで、大規模修繕の全体の工期と費用を効率よく削減できる可能性があります。
給排水管の改修と外壁塗装を同時に進めることでの相乗効果を最大限に引き出すためのサポートを行います。
A. 給排水管の更新(交換)費用相場は、工事範囲や建物の規模によって大きく異なります。
共用部分のみの場合で1戸あたり40万円~120万円
専有部分を含む場合では100万円~180万円
上記を超えるケースもあります。
特に、専有部分は内装の解体・復旧費が高額になるため、詳細な見積もりの内訳を確認しましょう。
複数の業者で比較することが大切です。
A. 更生工事の主なメリットは、更新工事に比べて費用が安く(更新の約3分の1~2分の1程度)、工期が短く、内装の解体が最小限で済む点です。
一方、デメリットは、耐用年数が10年~20年程度と短く、あくまで配管の寿命を延ばす延命措置です。
既存の配管の劣化が激しい場合は施工が不可能な場合もある点です。
A. 給水管の赤水の対策として最も効果的な方法は、錆の原因となる古い金属製の配管を錆の心配が少ないステンレスや樹脂製の新しい配管に「更新(交換)」することです。
一時的な対処としては更生工事も可能ですが、長期の安心を考えると更新が推奨されます。
水質の検査を行い、専門家の意見を聞いて判断しましょう。
A. 給排水管改修工事は大規模な費用が発生するため、修繕積立金が不足している場合は、以下の方法を検討する必要があります。
長期修繕計画の見直しと修繕積立金の値上げ:将来の費用を見越した積立を行う。
一時金の拠出:不足分を区分所有者から集める。
金融機関から借り入れ:高額な工事費用を借入で賄い、積立金から返済する。
早めに管理組合で資金計画を見直し、居住者の合意を得る必要があります。
A. 給排水管工事の見積もりの比較では、総額の比較だけでなく、以下の点に特に注意してください。
工事範囲:専有部分と共用部分の範囲が明確に区分されているか。
工法:更新か更生か、同じ工法で比較しているか。
内装復旧費:更新工事の場合、解体と復旧の単価と内容が適正か。
保証期間:配管と内装の保証が明確に記載されているか。
複数の業者に同じ条件で見積もりを依頼し、第三者の専門家(コンサルタント)の意見を活用することをお勧めします。
マンションの給排水管改修工事は、高額な費用と長期の計画が必要な一大プロジェクトです。
しかし、居住者の安全で快適な生活と建物の資産価値を維持するために不可欠です。
この記事で解説した費用相場や工法の種類、見積もり比較のポイントを参考に、長期修繕計画の中で適切なタイミングと工法を選択してください。
特に、給水管の赤水対策や専有部分の改修は、管理組合の主導で一斉に行うことが費用や居住者の負担を抑える鍵となります。
大阪でマンションの設備改修や大規模修繕をご検討の皆様は、私たちのような建物の総合的な維持管理に精通した事業者へ気軽にご相談ください。
外壁塗装の専門知識と給排水管の改修の知見を活かし、皆様のマンションに最適な提案を行います。