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コラム |
2025.11.05
なぜ外壁塗装後に「塗膜膨れ」が起きるのか
外壁塗装は、お客様の大切な資産であるお家や建物を雨風、紫外線から保護し、耐久性と美観を長持ちさせるための重要なメンテナンスです。
しかし、施工後しばらく経ってから、外壁にポツポツとした「膨らみ」や「気泡」のようなもの(塗膜膨れ)を発見し、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この「塗膜膨れ」は、単なる見た目の問題ではありません。
塗膜が持つ防水性や保護機能が損なわれている危険なサインです。
放置すると、膨れた箇所から塗膜が剥がれ、雨水が躯体(くたい)の内部に侵入します。
雨漏りや建材の腐食といった重大なトラブルに進行する可能性があります。
今回の記事は、
「外壁塗装の塗膜膨れ」の原因
対処法
再発防止策
について、網羅的かつ専門的な知識を提供することを目的としています。
特に、大阪で持ち家や店舗、アパート・マンションを所有されている法人、個人事業主、個人の皆様が、この問題を解決し、安心して再塗装を検討するための判断基準と情報を提供します。
貴社の建物の寿命を延ばし、資産価値を維持するためにも、この記事を参考に、塗膜膨れに関する全てを理解し、適切な対処の第一歩を踏み出してください。
外壁塗装後の塗膜膨れ(ブリスター)は、塗膜が下地や古い塗膜から浮き上がり、気泡状に膨らむ現象を指します。
この発生には、主に「施工不良」と「経年劣化・環境要因」という二つの主な原因があります。
この原因を正確に把握することが、再発防止のための最初のステップです。
塗膜膨れの多くは、塗装工事の際に業者が適切な手順や乾燥時間を守らなかった施工不良が原因で生じます。
外壁塗装において、塗料の性能を最大限に発揮させるために不可欠なのが下地処理です。
この処理が不十分だと、塗膜が下地に密着する力が低下し、膨れや剥がれの原因となります。
高圧洗浄の不足:外壁に付着した汚れ、カビ、コケ、古い塗膜の粉化(チョーキング)などを高圧洗浄で十分に除去しなかった場合、塗料が汚れの上に塗られ、密着できずに浮きが発生します。
ケレン作業の手抜き:金属系の外壁材や古い塗膜の錆や浮き部分を除去するケレン作業が不十分だと、塗膜が密着せず、剥離しやすい状態になります。
前の記事でも解説した通り、塗装は各工程(下塗り・中塗り・上塗り)の間に、塗料を完全に乾燥させる「インターバル時間」を確保する必要があります。
インターバル時間の不足:下塗りや中塗りが乾燥しきる前に次の塗りを重ねてしまうと、下層に含まれていた水分や溶剤が、上塗りの膜によって閉じ込められてしまいます。
熱による蒸発:閉じ込められた水分(水性塗料の水や下地の湿気)や溶剤(油性塗料の溶剤)は、日が当たるなどして外壁の温度が上昇すると、水蒸気やガスに変化し、膨張します。
内側から押し上げる力:蒸発した水蒸気やガスは逃げ場を失い、塗膜を内側から強く押し上げ、塗膜膨れ(ブリスター)として表面に現れます。
塗料の相性問題:古い塗膜の種類と、新しく使用する塗料の種類に相性問題がある場合、密着性が低下し膨れにつながります。例えば、旧塗膜が弾性塗料の場合に、相性の悪い塗料を塗ると膨れる可能性が高まります。
希釈の過不足:塗料の粘度を調整する希釈作業で、水や溶剤を規定量より多く入れすぎると、塗膜の接着剤としての機能が低下し、密着性が悪化します。
施工には問題がなくとも、長年の使用による経年劣化や特有の環境要因で塗膜膨れが発生することもあります。
モルタルやコンクリートの水分:モルタル壁やコンクリート躯体は、構造上、水分を吸収しやすい性質を持っています。
雨水や結露などで吸収された水分が、日射によって温められ、水蒸気となり塗膜を内側から押し上げる可能性があります。
シーリング材やひび割れからの侵入:外壁の継ぎ目や窓周りのシーリング材が劣化し、ひび割れ(クラック)が生じた箇所から雨水が侵入すると、外壁材の内部に水分が溜まって塗膜膨れを引き起こします。
特に、窯業系サイディングボードは吸水性が高いため注意が必要です。
屋根や笠木からの雨水浸入:外壁の上部にある屋根やベランダの笠木などの防水箇所に不備があります。
雨水が壁内部を伝って降りてくる場合、塗膜膨れや剥がれが発生します。
弾性塗料の蓄熱:ひび割れの防止に優れる弾性塗料は、塗膜が厚くなりがちな性質と、熱を蓄積しやすい性質を持っています。
夏場などの気温上昇時に塗膜内部の気泡や水分が膨張します。
膨れを起こす可能性があります。
サイディングボードの反り:窯業系サイディングボードは水分を吸収・蒸発させる際に反りが生じやすい材料です。
ボードが反りを繰り返すと、塗膜がその力に耐えられず、端の部分から剥離や膨れを起こします。
外壁塗装の塗膜膨れを発見した際、最初に考えるべきことは、「自分で直すべきか」、それとも「業者に依頼すべきか」という判断です。
軽度な塗膜膨れや剥がれの場合、「自分で直せないか」と考える方もいるかもしれません。
しかし、塗膜膨れの根本原因は下地の問題や水分侵入にあることが多く、安易なDIYは状態を悪化させるリスクが高まります。
【DIYで対応可能な「軽微な部分」の補修(自己責任)】
塗膜膨れの再発を防ぐには、
下地の水分量確認
塗料層の相性
適切なプライマーの選定
そして複数回塗り重ねる工程での乾燥時間管理など、専門知識と技術が不可欠です。
根本解決の困難性:膨れの原因が外壁材内部の湿気や雨漏りにある場合、DIYの表面補修では何の解決にもなりません。
保証の失効:以前の塗装工事の保証期間内にDIYで手を加えると、業者の保証対象外となります。保証を失わせるリスクがあります。
塗膜膨れを発見したら、まずは専門の塗装業者に相談し、診断を依頼することが最善の対処方法です。
特に、施工後10年以内であれば、保証内容を確認しましょう。
【業者による診断と補修の基本的な流れ】
現地調査と原因特定:業者は目視や打診、場合によっては専用の水分計などを使い、膨れの発生原因を正確に特定します。
多くの場合、剥がれ部分の塗膜層を確認し、下塗りと中塗りの密着不良や、下地の水分有無を判断します。
不良塗膜の除去と下地処理:膨れ部分とその周囲の不良塗膜を完全に剥がし取り(ケレン作業)、下地を露出させます。
水分が含まれている場合は、十分に乾燥させる時間を確保します。
再塗装(再発防止):下地処理後、状況に応じて適切なプライマー(下塗り材)を塗布し、既存塗膜と相性の良い塗料を使用して、中塗り、上塗りを重ねて仕上げます。
再塗装時の色合わせは、職人の経験が問われる重要な作業です。
【大規模な剥がれや雨漏りへの対応】
膨れが広範囲に及んでいる場合や、雨漏りが確認された場合は、単なる部分補修では済みません。
全面再塗装の検討:塗膜全体の密着性が低下している可能性が高いため、費用は高額になりますが、既存塗膜を全て剥がし取り、全面再塗装を行うことが長期的な資産保護につながります。
防水工事や構造補修の併用:雨漏りや構造材の腐食が原因の場合は、塗装工事の前にシーリング工事、防水工事、躯体補修など、専門分野の作業が必要となります。
塗膜膨れの補修費用は、症状の程度、発生箇所、範囲、原因、そして依頼する業者の工法によって大きく変動します。
費用を抑えるためにも、原因を正確に特定し、必要最小限の範囲で適切な対処を行うことが重要です。
| 補修の種類 | 費用相場(足場代を除く) | 適用されるケース |
| 軽微な部分補修 | 3万円~10万円程度 | 小さな膨らみや剥がれが数箇所に限定されている場合。タッチアップと下地処理を伴う。 |
| 広範囲の部分補修 | 10万円~30万円程度 | 膨れや剥がれが壁面の一部に集中し、数㎡の範囲に及んでいる場合。塗膜剥離と再塗装工程。 |
| 全面再塗装(塗り替え) | 60万円~200万円以上 | 塗膜全体の密着性が低下している、または膨れが広範囲に及んでいる場合。足場設置が必要。 |
注意点:上記費用には、原則として足場設置費用(全体費用の約20%)は含まれていません。
特に、高所での部分補修でも足場が必要になる場合があり、その場合は費用が一気に高まります。
塗膜膨れの多くは施工不良が原因であるため、保証期間内であれば、無償補修の対象となる可能性が高いです。
【塗装業者の保証と瑕疵保険の確認】
業者の保証:優良業者は、工事完了後も一定期間(5年~10年)の塗膜剥離保証を設けています。
見積もりの際に、保証内容(対象範囲、期間、免責事項)を必ず確認してください。
瑕疵保険:業者が倒産した場合などに、第三者機関が補償を行う「瑕疵保険」に加入しているかを確認することも重要です。
特に、大規模な修繕や新築時の保証を検討する際に役立ちます。
大阪府内で外壁塗装や塗膜膨れの補修を検討されているお客様へ。当社は、費用対効果の高い解決策を提案します。
外壁塗装の費用を高額にしてしまう要因の一つが足場代です。
特に、塗膜膨れのような部分補修では、補修作業自体よりも足場代の方が高くなるケースも多いです。
お客様の大きな負担となります。
当社は大阪地域で、高所作業車やロープアクセス技術を活用した「足場なし工法」(無足場工法)による外壁塗装を承っております。
費用削減:足場代(工事全体の約20%)を大幅に削減可能。
高品質維持:足場を使用する場合と同様、高圧洗浄、下地処理、乾燥時間確保など、全工程でメーカー規定を遵守した品質管理を徹底。
部分補修に最適:特定箇所の塗膜膨れ補修など、小規模な作業に足場設置の手間と費用がかからないため、迅速かつ低コストで対応可能です。
塗膜膨れを発見したら、まずは当社へ無料見積もり・診断をご依頼ください。
足場代不要の最適なプランを提案させていただきます。
塗膜膨れを放置すると、膨らみが破れ、塗膜が剥がれ(剥離)てしまいます。
剥がれは、膨れよりもさらに深刻な問題を引き起こすサインです。
外壁塗装の剥がれが生じると、そこから外壁材や建物の躯体に直接的なダメージが及びます。
【建物内部への雨水侵入と腐食】
雨漏りと構造材の腐食:塗膜の剥がれ部分は、外壁材を保護する機能を失わせるため、雨水の浸入を許してしまいます。
特に、サイディングボードや木材の構造材に雨水が入ると、腐食(木材の腐り、金属の錆)を引き起こし、建物の強度を著しく低下させます。
シロアリ被害の可能性:雨水の浸入による湿気は、シロアリなどの害虫が繁殖しやすい環境を作ってしまい、家全体に被害が及ぶ可能性があります。
断熱機能の低下:剥がれから湿気が内部に入ると、壁内の断熱材が濡れてしまい、本来の断熱性能を失うことになります。
光熱費の上昇にもつながります。
【剥がれを伴う再塗装の難易度と注意点】
剥がれが生じた場合、補修作業の難易度は膨れの時よりも格段に上がります。
旧塗膜除去の徹底:剥がれを生じている場合、残っている塗膜全体の密着性が疑われるため、広範囲の旧塗膜を高圧洗浄やケレンなどで徹底的に除去します。
不安定な部分を残さないよう丁寧に行います。
下地の補修:剥がれ箇所の地(モルタル、コンクリート、サイディングボード)に損傷がある場合は、塗装の前にセメント系材料やパテなどで欠損部分を埋めます。
平滑に直しておく必要があります。
再塗装の塗料選定:剥がれ部分と既存塗膜が均一な厚さ、仕上がりになるよう、塗料の種類や塗り回数を慎重に選定する必要がありますが、高度な専門知識が求められます。
塗膜膨れや剥がれを防ぎ、塗装工事を成功させる最良の方法は、「信頼できる優良業者を選ぶこと」と「適切なメンテナンスを行うこと」です。
大阪地域で外壁塗装の失敗を避けるために、業者を選定する際の重要なチェックポイントをご紹介します。
【経験と知識を持つ業者を見極める3つの視点】
診断能力と原因特定力:見積もりの際に、単に「塗り替え」の提案だけでなく、現在の塗膜の劣化状態や塗膜膨れの原因を専門的な視点で分析します。
具体的な説明をしてくれるかどうかを確認します。
塗料知識の豊富さ:塗膜膨れの原因の一つである塗料の相性問題について、既存塗膜の種類を調査します。
最適な下塗り材や上塗り塗料を提案できる知識があるかどうかを見極めます。
例えば、透湿性の低い塗膜の上に弾性塗料を塗るリスクを説明できるか。
工程管理と品質へのこだわり:乾燥時間確保を含めた「施工日誌」を提出する、または作業報告を行うなど、見えない工程を丁寧に管理する体制があるかどうかを確認します。
【相見積もりで比較する際の注意点】
複数の業者から見積もり(相見積もり)を取る際は、総額費用だけでなく、以下の項目を比較してください。
下地処理内容の詳細:高圧洗浄の圧力や時間、ケレン作業の範囲などが具体的に記載されているか。
塗膜膨れ再発防止には下地処理が最も重要です。
使用塗料の製品名と仕様:メーカー名、製品名、規定の塗り回数が明記されているか。
グレードの低い塗料にすり替えられるリスクを回避します。
保証期間と補償内容:期間が長いほど安心ですが、期間内に何が保証されるのか(塗膜剥離のみか、雨漏りも含むか)を明確に確認します。
塗膜膨れを未然に防ぐ最良の策は、定期的な点検とメンテナンスです。
定期点検の実施:塗装工事後も、1年、3年、5年などの節目で業者に点検を依頼し、塗膜の状態を確認してもらいましょう。
当社でもアフターサービスとして定期点検を実施しております。
早期発見のポイント:日頃から外壁を注意深く観察しましょう。
小さな膨らみ、ひび割れ、剥がれの初期症状を見つけたら、すぐにプロに相談しましょう。
早期対処は費用を抑えることにもつながります。
公式サイトでの情報収集:建物のメンテナンスに関する情報は、国や専門機関の公式サイトなども参考になります。
例えば、農林水産省のホームページでも住宅に関する様々な情報が掲載されています。 (https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/qa/171221.html)
外壁塗装の塗膜膨れに関する、お客様からよくいただく質問にお答えします。
A: まず、膨らみの状態を写真に撮り、施工業者(保証期間内の場合)または、信頼できる第三者の専門業者に連絡しましょう。
診断を依頼するのが第一歩です。
原因を特定せず放置したり、無理に触って剥がしたりすることは避けてください。
膨れの中に水分が溜まっている場合、破れると雨水が侵入する恐れがあります。
A: 塗膜膨れの原因が施工不良(下地処理不足や乾燥不足)である場合、比較的早期、施工後数週間から1年以内に発生するケースが多く見られます。
一方、経年劣化や外壁材内部の水分侵入が原因の場合は、塗装後5年~10年程度経過した後に現れることもあります。
早期発見に努めることが大切です。
A: はい、可能です。私たちが大阪で提供する「足場なし工法」は、塗膜膨れなど特定の箇所だけに生じた不具合の部分補修に最適です。
高額な足場設置費用が不要なため、費用を抑えながら、迅速かつ丁寧に補修作業を行います。
再塗装時の色合わせなど、高い技術力が必要な工程も、経験豊富な職人が担当するのでご安心ください。
A: 塗膜膨れは、塗膜が下地から浮いている状態(気泡や膨らみ)を指します。
塗膜剥がれ(剥離)は、膨れがさらに進行します。
塗膜が物理的に下地から分離して失われている状態を指します。
膨れの段階で対処できれば、下地の損傷は軽度で済みますが、剥がれまで進行すると、雨水の侵入など深刻な問題を伴います。
外壁塗装後に塗膜膨れを発見することは、誰にとっても不安な出来事です。
しかし、この記事を通して、膨れの原因、リスク、そして適切な対処法と費用に関する確かな知識を得られたと思います。
塗膜膨れは「建物からのサイン」です。決して放置せず、早めに原因を特定し、根本的な解決を図ることが、お家やビルの防水性と耐久性を回復させ、長期的に資産を守る唯一の道です。
特に、再塗装や補修工事を検討する際は、手抜き工事による再発リスクを避けるためにも、診断力と施工管理体制の整った優良業者を選定することを強く推奨します。
大阪府内で、塗膜膨れ補修や高品質な外壁塗装をご検討の際は、費用削減に貢献できる「足場なし工法」専門の私たちへご相談ください。
専門知識を持ったスタッフが、丁寧な現地調査と最適なプランを無料でご提案させていただきます。