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コラム |
2025.05.03
独特の風合いと耐久性で知られる銅板屋根。
その多くは、板金職人の高度な加工技術によって雨水の浸入を防ぐ構造となっています。
そのため、一般的な屋根材に比べて「コーキング」が多用されるイメージは少ないかもしれません。
しかし、建物の形状や納まり、あるいは過去のメンテナンス方法によっては、銅板屋根の一部にコーキングが使用されていることがあります。
「うちの銅板屋根の、この部分のコーキングがひび割れてるけど大丈夫?」
「ここから雨漏りしないかな…」
「もし補修するなら、費用はどのくらいかかるの?」
「やっぱり足場が必要で、足場代が高くつくのかな?」
今回の記事では、銅板屋根のコーキングについてお調べのあなたが抱える、そんな疑問や不安を解消するために、
銅板屋根でコーキングが使われるケース
見逃してはいけないコーキングの劣化サイン
劣化したコーキングの補修方法(打ち替え)と、それに伴う費用相場
そして、気になる足場代を抑える可能性のある足場なし工法について
を詳しく解説します。
銅板屋根の特性を踏まえ、適切なメンテナンスを行うための参考にしていただければ幸いです。
銅板屋根は、そのほとんどの部分で、銅板を折り曲げたり重ね合わせたりする板金加工の技術を用いて雨仕舞い(雨水が建物内部に入らないようにすること)を行います。
これは、コーキングのようなシーリング材に頼らずに高い防水性を実現する、伝統的な技術です。
そのため、例えばスレート屋根や金属サイディングの外壁のように、部材の継ぎ目に沿って広範囲にコーキングが施されている、ということは基本的にありません。
では、銅板屋根にコーキングは全く使われないのでしょうか?そうではありません。
銅板屋根においてコーキングが使用されるのは、主に以下のような、
防水をより確実にするための補助的な役割
特定の状況に対応するためです。
谷板金と他の屋根材との取り合い部分
壁との接合部
など、板金加工だけでは雨仕舞いが難しい、あるいはより高い防水性が求められる箇所に補助的に使用されることがあります。
過去のメンテナンスで部分的な補修としてコーキングが使用された箇所
軽微なひび割れや隙間を塞ぐ応急処置
あるいは部分的な防水強化
上記の3つのような時に後からコーキングが施されることがあります。
棟板金などを固定する際に使用した釘やビスの頭に、防水目的でコーキングが施されていることがあります。
このように、銅板屋根におけるコーキングは、構造全体の防水を担う主要な役割ではありません。
特定の箇所の補助や補修のために限定的に使用されることが多いと言えます。
コーキングは紫外線や雨風の影響で経年劣化します。
銅板屋根に使用されているコーキングも例外ではありません。
以下のようなサインが見られたら、劣化が進行している証拠です。
表面に細かなひびが入ったり、大きく亀裂が入ったりします。
ひび割れはコーキングの防水機能を低下させる直接的な原因となります。
接着力が低下し、施工面から剥がれて隙間ができてしまいます。
隙間から雨水が容易に浸入します。
コーキング材の体積が減少し、凹んだり隙間ができたりします。
弾力性を失い、硬くなってしまいます。
建物の動きや温度変化に追従できなくなり、ひび割れや剥がれの原因となります。
これらのコーキングの劣化を放置すると、そこから雨水が浸入します。
屋根材の下地を腐食させたり、雨漏りを引き起こしたりする可能性があります。
銅板屋根自体の防水構造がしっかりしていても、コーキングが劣化している特定の箇所から雨水が浸入することもあるため、注意が必要です。
劣化したコーキングのメンテナンスは、「打ち替え」が基本となります。
古くなったコーキング材をカッターなどで完全に撤去します。
清掃した後、新しいコーキング材を充填する方法です。
これにより、コーキング本来の防水性や耐久性を回復させることができます。
既存のコーキングの上に新しいコーキング材を重ねて充填する方法です。
一時的な応急処置としては有効な場合もありますが、下地の古いコーキングが劣化していると、すぐに剥がれてしまう可能性が高いです。
推奨されません。
銅板屋根のような重要な部分では、打ち替えを行うべきです。
銅板屋根のコーキング補修にかかる費用は、
補修箇所の長さや範囲
作業の難易度
使用するコーキング材の種類
高所作業に伴う足場代
によって大きく変動します。
コーキング自体の費用は、一般的に1メートルあたりの単価で計算されます。
屋根のコーキング打ち替えの費用相場は、1メートルあたり900円~1,200円程度が目安です。
これに既存コーキングの撤去費用などが加わります。
しかし、銅板屋根のコーキング補修の場合、問題となるのはその「高所」での作業である点です。
コーキングの補修自体にかかる費用は比較的安価でも、安全に作業するための足場代が別途必要となります。
この足場代が費用総額の大きな割合(数万円~数十万円)を占めることが少なくありません。
「コーキングの補修だけなのに、足場代が高額になるのは避けたい…」そうお考えの方に、足場なし工法が有効な選択肢となる場合があります。
足場なし工法は、建物の周囲に足場を設置せず、ロープアクセスや高所作業車などを活用して高所での作業を行う工法です。
部分的なコーキング補修: コーキングの劣化箇所が限定的で、ロープや高所作業車で安全にアクセスできる場所であれば、足場なし工法での補修が可能です。
足場代の削減: 足場の設置・解体費用が不要、または大幅に削減できるため、補修費用を抑えることができます。
工期短縮: 足場の組み立て・解体の期間が必要ないため、工事期間を短縮できます。
周辺環境への配慮: 足場設置による敷地の占有や騒音、プライバシーの問題を軽減できます。
ただし、足場なし工法は全てのケースに適用できるわけではありません。
コーキングの補修箇所が広範囲に及ぶ場合
屋根の形状が複雑で安全なアクセスが難しい場合
あるいは下地の劣化など、コーキング補修だけでなく他の屋根工事も同時に必要な場合
こんな場合には、安全確保のため足場が必要となることが一般的です。
足場なし工法が可能かどうかは、専門の業者に現場を正確に診断してもらいましょう。
判断を仰ぐようにしましょう。
安全が最優先です。
銅板屋根のコーキング補修で足場なし工法を検討したい場合は、以下の点に注意して業者を選びましょう。
銅板屋根とコーキングに関する専門知識
銅板屋根の特性を理解しているか
銅板に適したコーキング材の選定
適切な施工方法
を知っている業者を選ぶことが重要です。
異種金属への配慮なども必要となります。
足場なし工法の実績と安全管理体制
足場なし工法は高度な技術と厳格な安全管理が求められます。
実績が豊富で、安全対策について具体的に説明できる業者を選びましょう。
保険への加入
万が一の事故に備え、適切な賠償責任保険などに加入しているか確認してください。
丁寧な現場診断と説明
コーキングの劣化状況や原因を正確に診断してもらいましょう。
足場なしで可能な範囲やリスク
必要な補修内容と費用について、分かりやすく丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
伝統的な美しさと高い耐久性を持つ銅板屋根。
しかし、特定の箇所に使用されたコーキングは経年劣化します。
ひび割れや剥がれといった劣化サインは、雨水の浸入を招きます。
建物の劣化につながる可能性があります。
家の銅板屋根のコーキングの状態が気になる
費用について相談したい
足場なし工法について詳しく知りたい
という方は、銅板屋根とコーキング、そして足場なし工法に詳しい弊社にご相談ください。
現地調査の上、お客様の屋根の状況に合わせた最適な補修方法と、費用を抑える可能性についても含めて、丁寧にご提案させていただきます。
大切な住まいを長く守るために、早めの点検とメンテナンスをおすすめします。