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コラム |
2025.05.03
風格ある美しい佇まいを醸し出す銅板屋根。
経年によって現れる独特の「緑青(ろくしょう)」は、銅板屋根ならではの魅力の一つです。
しかし、その美しい屋根にも、時として見過ごせない「異変」が現れることがあります。
それは、腐食です。
「うちの銅板屋根、緑色じゃない部分があるけど大丈夫?」
「ひょっとして腐食してる?」
「もし修理や交換が必要なら、費用はどれくらいかかるの?」
「外壁塗装の時みたいに、足場代が高くつくのかな…」
銅板屋根の腐食について検索されているあなたは、もしかしたらご自宅の屋根に何らかのサインを見つけ、不安を感じているかもしれません。
今回の記事では、
銅板屋根の腐食の原因や見逃してはいけないサイン
適切なメンテナンス方法(修理・交換など)
メンテナンスに伴う費用
について詳しく解説します。
さらに、高所作業の費用負担を軽減できる可能性のある足場なし工法についてもご紹介します。
この記事を読んで、大切なご自宅の銅板屋根を守るための知識を身につけておきましょう。
安心してメンテナンスを検討できるようになりましょう。
銅板屋根は、古くから神社仏閣などに用いられてきた歴史ある屋根材です。
その最大の特長は、経年により表面が酸化して美しい青緑色の緑青(ろくしょう)を形成することです。
この緑青は、内部の銅を保護する役割も果たします。
初期は光沢のある赤褐色ですが、数年から数十年かけて徐々に緑青へと変化していく様子は、建物の歴史と共に味わいを深めていくようで魅力的です。
耐久性が高く、比較的軽量であるというメリットもあります。
しかし、金属であるゆえに、特有の腐食の問題にも注意が必要です。
銅は比較的安定した金属です。
しかし、全く腐食しないわけではありません。
特に以下のような要因で腐食が進行することがあります。
大気中の汚染物質や海からの塩分を含んだ雨水は酸性を帯びており、銅の表面をゆっくりと溶解させます。
腐食を促進します。
特に都市部や海岸近くの地域では影響が大きくなる傾向があります。
銅と他の種類の金属(鉄やアルミニウムなど)が接触します。
水分が存在すると、電位差によって電流が発生します。
一方の金属が選択的に腐食する現象が起きます。
これを電食と呼びます。
例えば、銅板屋根に鉄製の釘やビスが使われている場合。
その部分から集中的に腐食(もらい錆び)が進行することがあります。
落ち葉などが溜まります。
常に湿った状態になる箇所は、腐食が進行しやすくなります。
銅板屋根の腐食は、初期の段階では見分けが難しいこともあります。しかし、以下のようなサインが見られたら注意が必要です。
緑青は均一に形成されることが多いですが、部分的に異常な黒ずみが見られる場合は、腐食が始まっているサインかもしれません。
腐食が進行すると、板金に小さな穴(ピンホール)が開くことがあります。
これは雨漏りに直結する危険なサインです。
腐食により板金が脆くなったり、固定部分が劣化したりすると、板金が浮いたり剥がれたりすることがあります。
【危険】「棟板金が浮いている」と言われたら?放置のリスク、費用、足場なし修理を解説
腐食によって穴が開いたり隙間ができたりすると、雨水が建物内部に浸入し、雨漏りが発生します。
これらの腐食サインを放置すると、雨漏りによって屋根の下地材(野地板や垂木)が腐食します。
建物の耐久性を著しく低下させる可能性があります。
また、腐食が広範囲に及ぶと、部分的な修理や補修では対応できなくなります。
交換や全面葺き替えが必要となります。
費用も高額になってしまいます。
早期に発見し、適切なメンテナンスを行うことが、被害を最小限に抑えるために非常に重要です。
銅板屋根のメンテナンスは、劣化の状況に応じて様々な方法があります。
ピンホール程度の小さな穴であれば、専用の補修材で塞ぐことが可能な場合があります。
異種金属との接触部で錆びが発生している場合は、その部分の処置を行います。
費用相場: 1.5万円~10万円程度(部分的な作業のため比較的安価ですが、足場が必要な場合は別途足場代がかかります)
腐食が一部に集中している場合
板金が部分的に破損している場合
に行われます。
劣化した部分の板金のみを新しいものに交換します。
費用相場: 10万円~30万円程度(交換する範囲による)+足場代
棟部分の銅板が腐食している場合
固定釘の緩みなどが見られる場合
に行われます。
棟板金と下地の貫板を新しいものに交換します。
(棟板金も銅板の場合があります)
費用相場: 1万円~2万円/メートル または 10万円~30万円/棟 +足場代 (一般的な棟板金交換の費用相場に、銅板の材料費が上乗せされる傾向があります。)
腐食が広範囲に及んでいる場合
屋根材全体の寿命が近づいている場合
に行われます。
既存の屋根材(銅板含む)を全て撤去し、新しい屋根材に葺き替える最も大がかりな工事です。
費用相場: 1.8万円~5万円/平方メートル +足場代 (選ぶ屋根材や工法によって大きく変動します。
銅板屋根への葺き替えは他の屋根材より高価になります。)
銅板屋根の塗装についてですが、銅板屋根はその緑青の美しさを活かすために塗装をしないことが一般的です。
ただし、特別な目的(保護など)で専用の塗料が使用されるケースもあります。
しかし、一般的な外壁用塗料や屋根用塗料とは異なるため注意が必要です。
これらのメンテナンスにかかる費用は、
によって大きく変動します。
特に全面葺き替えのような大規模な工事では、足場代が費用総額の大きな割合を占めます。
高額になりがちな足場代を抑えたいとお考えの方に、足場なし工法が選択肢となる場合があります。
足場なし工法は、建物の周囲に足場を組まずに、ロープを使ったロープアクセスや高所作業車などを用いて高所作業を行う方法です。
部分的な補修や点検: 小規模な腐食箇所の補修や、定期的な屋根の状態確認であれば、足場なし工法で対応可能な場合があります。
足場代の削減: 足場の設置・解体費用が不要となるため、メンテナンスコストを大幅に削減できる可能性があります。
工期短縮: 足場の組み立て・解体の期間が必要ないため、工事期間を短縮できます。
周辺環境への配慮: 足場設置による敷地の占有や騒音、プライバシーの問題を軽減できます。
ただし、足場なし工法は万能ではありません。
広範囲にわたる板金の交換
屋根全体の葺き替え
など、作業範囲が広い場合。
複雑な形状の屋根
屋根勾配が急な場合
などでは、安全性を確保するために足場が必要となります。
また、屋根材の種類や状態によっては、足場なしでの作業が難しいケースもあります。
足場なし工法が可能かどうかは、専門の業者に現場をしっかりと見てもらいましょう。
判断を仰ぐことが不可欠です。
安全な施工が大前提となります。
銅板屋根のメンテナンスで足場なし工法を検討する際は、以下の点に注意して業者を選びましょう。
銅板屋根の扱いに慣れているか
銅板はデリケートな素材であり、その特性を理解し、適切な工法で施工できる経験豊富な業者を選ぶことが重要です。
腐食の原因となる異種金属の使用などを避ける知識も必要です。
足場なし工法の実績と安全管理体制
足場なし工法は高度な技術と厳格な安全管理が求められます。
実績が豊富で、安全対策について具体的に説明できる業者を選びましょう。
保険への加入
万が一の事故に備え、適切な賠償責任保険などに加入しているか確認してください。
丁寧な診断と説明
屋根の腐食状況を正確に診断してもらいましょう。
足場なしで可能な範囲やリスク、必要なメンテナンス内容と費用について、分かりやすく丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
美しい経年変化が魅力の銅板屋根も、酸性雨や異種金属との接触などにより腐食が進行することがあります。
穴あきや雨漏りといったサインは、見逃せない危険信号です。
修理や交換といった適切なメンテナンスは、建物を長持ちさせるために非常に重要です。
しかし、それに伴う費用、特に足場代がご心配な方もいらっしゃるでしょう。
劣化した部分の補修や点検など、状況によっては足場なし工法での対応が可能な場合があります。
費用削減につながる可能性があります。
銅板屋根の腐食が気になる
メンテナンス方法や費用について相談したい
足場なし工法について詳しく知りたい
という方は、銅板屋根の特性と足場なし工法双方に知見のある弊社にご相談ください。
現地調査の上、お客様の屋根の状況に合わせた最適なメンテナンスプランと、費用を抑える可能性についても含めて、丁寧にご提案させていただきます。
大切な住まいを守るために、早めの点検とメンテナンスをおすすめします。