![]() |
コラム |
2025.05.01
大切なお住まいの外壁に、小さなひび割れを見つけて不安になったことはありませんか?
「まだ大丈夫だろうか」
「これからひび割れが広がらないか心配だ」
そんなお悩みをお持ちの方に、ぜひ知っていただきたい塗料があります。
それが「高弾性塗料」です。
「高弾性塗料とは一体どんな塗料なの?」
そう思ってこのページをご覧いただいているかもしれませんね。
外壁のひび割れは、見た目が悪くなるだけではありません。
そこから雨水が浸入します。
建物の構造材を腐食させる原因にもなりかねません。
だからこそ、ひび割れへの対策は外壁塗装において非常に重要です。
今回の記事では、
高弾性塗料の基本的な仕組み
最大の特長である「ひび割れへの強さ」
メリット・デメリット
気になる費用や耐用年数
まで、外壁塗装のプロが分かりやすく解説します。
あなたの家にとって最適な塗料選びのヒントになれば幸いです。
高弾性塗料とは、乾燥するとゴムのように塗膜がよく伸びる(弾力性がある)のが最大の特徴の塗料です。
通常の塗料の塗膜は固まるとほとんど伸びません。
しかし、高弾性塗料は塗膜が柔らかく、建物の動きや揺れ、温度変化による外壁材の膨張・収縮に追従して伸縮することができます。
この「伸びる」性質が、外壁のひび割れに対する強力な武器となります。
外壁にひび割れ(クラック)が発生する原因は、
地震による揺れ
不同沈下
乾燥収縮
素材の経年劣化
など様々です。
特にモルタル壁などは、経年により細かなひび割れが発生しやすい傾向があります。
通常の塗料で塗装した場合。
下地の外壁材にひび割れができると、その上の塗膜も一緒に割れてしまいます。
しかし、高弾性塗料であれば、下地に小さなひび割れができても、塗膜がゴムのように伸びて追従します。
ひび割れの表面化を防ぐことができます。
イメージとしては、ストッキングのように伸縮して下のひび割れを覆い隠し、表面に表れないようにする、という感じです。
これにより、美観を保つだけでなく、ひび割れから雨水が浸入するのを防ぎます。
建物を水の被害から守るという重要な役割を果たします。
高弾性塗料を選ぶことで得られる主なメリットは以下の通りです。
最大のメリットです。
下地に発生した軽微なひび割れが塗膜表面に現れるのを防ぎます。
すでに発生しているヘアークラック(髪の毛のように細いひび割れ)であれば、塗り重ねることでカバーすることも可能です。
ひび割れは雨水の浸入経路となります。
高弾性塗料はひび割れを表面化させない
あるいは覆い隠すことで、建物の躯体への雨水の浸入を効果的に防ぎます。
これは建物の耐久性を維持する上で非常に重要です。
塗膜が伸縮することで、一般的な塗料に比べて塗膜自体にかかる負担が軽減されます。
これにより、塗膜の劣化が遅くなり、比較的長い耐用年数が期待できます(製品にもよりますが、15年〜20年以上を謳うものもあります)。
塗り替え回数を減らせる可能性があります。
長期的なメンテナンスコストの削減に繋がります。
ひび割れが表面に現れにくいため、長期にわたってきれいな外観を保ちやすいです。
良いことばかりのように思える高弾性塗料ですが、いくつか注意しておきたい点もあります。
一般的なアクリル塗料やシリコン塗料に比べると、材料費が高価になる傾向があります。
また、十分な弾性を発揮させるために、通常の塗料よりも厚く塗る必要があります。
その分塗布量が増えるため、施工費用も高くなる場合があります。
高弾性塗料は塗膜が厚いため、乾燥に時間がかかったり、塗りにくかったりすることがあります。
適切な膜厚を確保します。
きれいに仕上げるには、高弾性塗料の扱いに慣れた知識と技術を持つ業者に依頼することが重要です。
不適切な施工は、せっかくの性能を十分に発揮できないどころか、膨れなどの不具合に繋がる可能性もあります。
塗膜の防水性が高い反面、湿気を外に逃がしにくい性質を持つ製品もあります。
下地の種類や状態によっては、内部の湿気で塗膜が膨れてしまう「膨れ」の原因となることがあります。
高弾性塗料が追従できるのは、あくまで軽微なひび割れ(ヘアークラックなど)や、建物の微細な動きによるひび割れです。
構造的な問題による大きなひび割れ(構造クラック)は、塗膜の伸縮範囲を超えてしまいます。
高弾性塗料を塗る前に適切な下地補修を行う必要があります。
かつては、塗膜が柔らかいことで表面に汚れが付着しやすいというデメリットが指摘されることもありました。
しかし、最近の製品は技術が進歩しました。
低汚染性を兼ね備えたものも増えています。製品選びが重要です。
高弾性塗料にもいくつかの種類があります。
主に弾性や耐久性によって区分されます。
JIS規格では弾性塗料がI種、II種、III種と分けられています。
一般的にI種が最も弾性が高いとされています(ただし、製品によってはJIS規格に準拠していないものもあります)。
アクリル弾性
ウレタン弾性
シリコン弾性
フッ素弾性
などがあります。
耐久性はアクリル<ウレタン<シリコン<フッ素の順に高くなるのが一般的です。
最近では、耐久性と弾性を両立させたシリコン系やフッ素系の高弾性塗料が増えています。
製品の種類やメーカーによって大きく異なります。
一般的には10年~20年以上と、通常の塗料よりも長持ちするものが多いです。
使用する塗料の種類
塗装面積
下地の状態
業者
によって変動します。
一般的なシリコン塗料と比較すると、1㎡あたり1,000円~2,000円程度高くなる傾向があります。
建物全体の費用としては、通常の塗装よりも10万円~数十万円程度高くなるケースが多いでしょう。
費用については、初期費用だけでなく、その後のメンテナンス費用(塗り替え周期)も考慮して、長期的なコストパフォーマンスで比較検討することが大切です。
特に高弾性塗料のメリットを活かせるのは、以下のようなお住まいです。
モルタル壁は乾燥収縮などによりひび割れが発生しやすいため、高弾性塗料によるひび割れ対策が非常に有効です。
軽微なひび割れであれば、高弾性塗料でまとめてカバーし、防水性を回復させることができます。
新築時や前回の塗装から時間が経っていない場合でも、予防策として選択する価値はあります。
耐用年数が長いため、将来の塗り替え費用を節約できる可能性があります。
逆に、サイディングの目地のように、コーキングの劣化が主な原因で水が入るような箇所には、高弾性塗料を塗るだけでは不十分な場合もあります。
サイディングの場合は、目地のコーキング補修がより重要になります。
高弾性塗料を選ぶ際に最も重要なのは、「自宅の外壁の状態や材質に合っているか」、そして**「信頼できる業者に施工を依頼すること」**です。
外壁診断
専門家による正確な外壁診断を受けましょう。
ひび割れの原因や種類を把握することが第一歩です。
構造的なひび割れであれば、塗料で隠すだけでなく根本的な補修が必要です。
製品選び
一言に高弾性塗料といっても、様々なメーカーから多様な製品が出ています。
弾性率
耐久性
低汚染性
透湿性(湿気を通すか)
など、製品ごとの特徴を理解しておきましょう。
自宅に最適なものを選ぶ必要があります。
施工業者の選定
高弾性塗料は一般的な塗料に比べて施工に技術が必要です。
適切な下地処理
塗布量
乾燥時間
を守らなければ、性能が十分に発揮されないだけでなく、剥がれや膨れの原因となります。
高弾性塗料の施工実績が豊富で、しっかりとした診断と提案をしてくれる信頼できる業者を選びましょう。
「高弾性塗料とは」という疑問にお答えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
高弾性塗料は、その優れた伸縮性により、
外壁のひび割れ追従性
防水性
長い耐用年数
といった大きなメリットを持つ塗料です。
特に
モルタル壁でひび割れが気になる方
長期にわたって安心して暮らしたい方
にとって、非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
ただし、費用や施工の難しさといったデメリットもあります。
ご自宅の外壁の状態や、どのような点を重視したいかによって、最適な塗料は異なります。
「うちの外壁には高弾性塗料が合うのだろうか?」
「ひび割れが気になるけど、どうすればいい?」
など、もしご不明な点やご不安があれば、ぜひ私たち外壁塗装のプロにご相談ください。
お客様のお住まいの状態をしっかりと診断します。
メリット・デメリットを正直にお伝えした上で、最適な塗料選びと施工プランをご提案させていただきます。
大切な家を長く、そして快適に保つために、まずは専門業者にご相談ください。